Cosmo-Zのトリガについての概要
トリガの種類
Cosmo-Zのトリガには、主にチャネルトリガと全体のキャプチャトリガの2種類があります。外部トリガはチャネルトリガの特殊系です。
トリガの種類 | 用途 | トリガの場所 |
チャネルトリガ |
・各ADCチャネルでのトリガ発生 ・イベントモードでのキャプチャの開始 |
各チャネルに1つずつ |
外部トリガ |
外部からのキャプチャ開始入力など |
4つの外部入力 |
キャプチャ(全体)トリガ | オシロモードでのキャプチャの開始 | 全体で1つ |
トリガ発生回路の全体構成
チャネルトリガ発生回路
チャネルトリガとは、ADCのチャネルごとに発生するトリガで、イベントキャプチャのために使われるとともに、全体トリガを発生させる条件として使われます。
イベントキャプチャとは、トリガが発生した前後の波形をキャプチャする機能のことです。
各ADCチャネルには閾値と比較してチャネルトリガを発生させる回路が用意されていて、ADCと比較して以下のような条件でトリガを発生させることができます。。
モード |
動作 |
---|---|
OFF |
設定値とは関わりなく、トリガ常にトリガを発生 |
UPPER |
設定値を上回ったときにトリガを発生 |
LOWER |
設定値を下回ったときにトリガを発生 |
RISE |
設定値を横切って設定値を超えたときに、1クロック分のトリガを発生 |
FALL |
設定値を横切って設定値未満になったときに、1クロック分のトリガを発生 |
CROSS |
設定値を横切った場合に1クロック分のトリガを発生(RISEとFALLのOR) |
DISCRI |
無信号時の値より設定値分下回った場合にトリガを発生。放射線計測回路がインストールされている場合のみ有効。 |
DSP |
別途作成したDSP(信号処理回路)からのトリガを入力。標準では使用できません。ユーザが作成したトリガなどを使用する場合に利用可能です。 |
LINKAGE |
他のチャネルにトリガが発生した場合に、当該チャネルもトリガが発生したとみなす。 |
基本トリガ
Lower、Upper、Falling Edge、Rising Edge、Crossの動作を下の図に示します。
LowerとUpperはレベルトリガなので、条件を満たしている間、トリガが発生し続けます。
Discri
DISCRIは、ペデスタルレベル(ベースライン)より閾値分下回ったときに発生するトリガで、閾値が自動的に更新される一種のFalling Edgeトリガです。これは放射線計測回路が有効の場合のみ利用可能です。様々な経緯により本来のディスクリの意味とは異なってきています。
Linkage
Linkageは、他のチャネルでトリガが発生した際に、Linkageが設定されたチャネルでもトリガが発生したとみなされます。
イベントモードではトリガが発生したチャネルしかキャプチャされないので、他のチャネルのトリガに同期させて別のチャネルをキャプチャしたい場合に用います。
Linkageトリガとは
Linkageを利用すると、トリガに同期した複数のチャネルのキャプチャを行うことができます。
Linkageの利用例1
CH1の波形が閾値を上回った場合に、CH1,2,3,4を同時キャプチャしたい場合には、以下のように設定します。例えば放射線計測の場合にCH1が大きなシンチレータで、CH2,CH3,CH4が位置を特定するための補助的な検出器であるような場合に利用できます。
- CH1にRISEトリガを指定
- CH2,3,4にはLINKAGEを指定
この場合、トリガの判別を行っているのはCH1のみですが、CH2,3,4にLINKAGEが指定されているので、イベント計測モードではCH1,2,3,4が同時に計測されます。
具体的な設定例についてはチュートリアルをご覧ください。
Linkageの利用例2
外部トリガに同期して、アナログ入力のサンプリングを開始することができます。例えば、パルスレーザを用いたポンプ光・プローブ光の測定などに応用できます。
- 外部トリガを立ち上がりに設定
- CH1~CH8をLINKAGEに設定
この場合、外部トリガによってCH1~CH8のチャネルトリガが起動され、同時サンプリングされます。
具体的な設定例についてはチュートリアルをご覧ください。
ディスクリとは
ディスクリとはDiscriminatorのことで、主に放射線計測で用いるトリガのことです。様々な経緯により、本来の意味のDiscriminatorとは少し意味が異なってきています。
このモードを使うとADC値の値そのものではなく、信号がない期間の値であるペデスタルレベル(ベースライン)からの相対値でトリガをかけることができます。
ディスクリの設定に満たない小さなパルスではトリガがかからないので、小さいパルスを除外して、ある程度以上の大きなパルスだけイベントとして拾うことができます。このモードを使うにはペデスタルレベル測定回路が必要になるため、FPGAに放射線検出オプション回路を入れる必要があります。
全体トリガ発生回路
各チャネルでトリガが発生したら、それらのANDまたはORをとり、全体のキャプチャトリガを計算します。全体トリガはオシロモードでの計測の開始(captureコマンド、csz_capture_execute()を含む)に使われます。
なお、デフォルトでは全体トリガはANDに設定されています。トリガを使用していないチャネル、すなわちトリガがOFFに設定されているチャネルは、ANDまたはORの計算の際に除外されます。
なお、Rising Edge、Falling Edge、Cross、Discriトリガは1クロックの期間しか発生しないため、複数のチャネルでエッジ型のトリガを発生させて全体のANDを取ると、まれにしか発生しなくなります。複数のチャネルでのANDトリガを発生させたい場合はメインとなるチャネルをEdge型にして、他のチャネルはレベル型(Upper,Lower)に設定するようにしてください。