CFD(Constant Fraction Discriminator)

CFDとは

CFDは、放射線のパルスの発生した時刻で正確なトリガをかけるための回路です。

放射線の信号は、一般的には、レベルでトリガをかけるとパルスの大きさによってトリガのかかる時間がずれてしまいます。

 

小さいパルスも大きなパルスも、一定の割合でトリガがかかるのが理想的です。

そこで、一定時間ずらした波形と、元の波形を減衰させたものを足し合わせることで、一定の割合でトリガを発生させるCFDという回路が使われます。

 

処理された波形のイメージを次の図に示します。

 

CFDを通すと、上の図のように入力(緑)に対して一定の割合のところで出力(茶)がゼロクロスしているのがわかります。

CFDとTFAを用いることで、指数関数的に減衰する波形が下の図のようなイメージで処理されます。

CFDの設定

CFDの設定は以下のパネルで行います。

delayとratioを設定します。CFDを有効にする場合は「有効」チェックボックスをONにします。

 

CFDの用途

CFDは処理された後の波形を利用するわけではなく、波形のトリガを作るために使われます。

次の図はNaIシンチレータからの波形ですが、CFDを使わずにFALLエッジでトリガを掛けた場合のものを重ね合わせて表示しています。下の図の赤丸の部分をみると、パルスの高さが低い場合と高い場合で、パルスの中でのトリガ位置がずれていることがわかります。

 

次の図はCFDを有効にして、UPP(汎用パルス処理回路)からのトリガでキャプチャしたときの波形です。

 

トリガがかかる位置が、波形全体において同じ割合の位置になっていることがわかります。

 

CFDによるトリガは、イベントの発生した時刻を10ns程度の精度で正確に求めたい場合に使用します。例えば、複数のセンサのイベント記録時刻を正確にして、粒子の通過した位置や経路を求める場合に用います。